一応、本ブログを書くにあたり、運営側から毎回テーマのようなものを提示されるのだが、今回提示されたのは「今年一年を気持ちよく締めくくるための秋の過ごし方」。

少し考えてみたのだけど、正直、何も浮かばない。先を見据えて何かをする、ということがないため、自分の中に問いに対する答えがないためだ。

 

新卒採用の面接官をしていると、たまに、「入社までに何かしておいた方がいいことはありますか?」と訊かれることがあるが、この問いを投げかけられたときの心境に似ている。

 

「〇〇について勉強をした方がいいですよ」「〇〇のような本を読んでおいた方がいいですよ」というような答えを求められていることはわかっているのだが、残念ながら、変に正直なところがあるため、「まあ、今やっているサークルなりアルバイト、卒論をしっかりやるのがいいんじゃないでしょうか」とこたえると、皆一様に、残念そうな顔をする。

 

ただ、これは問いをいなしているわけではなく、本心からの答えだ。

 

ファイナンスの世界でよく聞かれる言葉に(といっても、僕はファイナンスとは無縁な人間だが)、「今日の100円は明日の100円より価値がある」というものがある。理屈としては、銀行に100円を預けた場合、利子がついて将来的にはより高くなるから、今日の100円の方が価値がある。ないし、そもそも、将来は不確定で、そもそも明日という日があるかわわからない、ということだが、僕は、この考え方が好きだ。明日以降に想いを馳せている余裕はない。

 

話を面接官のくだりにもどすと、「入社までに何かしておいた方がいいことはありますか?」という問いは、将来のことをしっかりと見据えているという点では好意的に受け止められるものの、「今日」に対して不遜な感じがして、やはり、好きになれない。

 

「明日」や「他者」のことはいいから、「今」の「自分」に専念をした方がよいと思う。そういった意味から、僕は「まあ、今やっているサークルなりアルバイト、卒論をしっかりやるのがいいんじゃないでしょうか」と答えている。

 

そして、「今年一年を気持ちよく締めくくるための秋の過ごし方」、というテーマについて。

いや、僕はそういう考え方をしないから、と斜に構えるのもなんなので、一応の返答をしておくと、今年一年どうこうではなく、今は「秋」なので、秋ならではの過ごし方をすればよい。

 

朝、目覚めたら透けるような秋空に目を細め、昼はオフィスにこもらず、外に出て秋風を感じ、夜は家路を急ぎつつも、ちょっと空を見上げ、秋の月を愛でる。

 

そんな過ごし方がよいのではないか、と思う。