こんにちは。

キングソフトにおいて管理部門の担当役員を務めている小林です。

本日は採用担当に代わり、僕の方で記事を書かせていただきます。

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僕がキングソフトに入社をしたのは、2013年の7月23日。

あと1ヶ月ちょっとで、入社から6年が経過することとなる。

 

いわゆるエスタブリッシュメント企業であれば、6年などごく短い期間ではあるが、

創業14年の会社においては短くはないし、幼年期から成長期へと向かう企業ステージと重なったという意味で、

密度としても濃い時間であったと言える。

 

月並みな言い方をすれば、6年はあっという間だった。

ゆったりと振り返れるほど余裕のある毎日ではなかったが、7年目を迎えるこのタイミングで、

今日はこの場をお借りして少し過去のことを振り返ってみようと思う。

 

このブログを読んでくださっている方の中には、新卒採用で弊社を志望してくださっている方や、

転職先として弊社を検討してくださっている方が少なからずいらっしゃることだろう。

 

そういった方に向けて、僕が入社から今日までの間において経験したこと、感じたことを振返り、記すことで、

キングソフトという会社に対する理解を少しでも深めていただける一助になればと思う。

 

 

■社員数はほぼ2倍に

キングソフトは2019年6月現在、グループ会社も含めると社員数は130名ほどになる。

僕が入社をした2013年当時は約70名だったので、人数としては約2倍に膨らんでいる。

そして、その顔触れも随分と様変わりした。

 

ちょうど僕が入社をしてから1~2年が経過をした頃、事業の拡大に伴い新入社員が多数入社をしてきた。

会社が大きくなっていくんだな、と気持ちの高ぶりを感じるとともに、

新しい血が注入されたことで、会社の雰囲気が少し変わったことを覚えている。

 

時を同じくして、創業当初からキングソフトを支えてきた社員や、僕と同じ頃に入社をした社員の退職が続いた。

彼ら、彼女たちは一様に口にした。「昔の方がよかった――」と。その主張はわかる。

会社としての体が整っていくにつれて堅苦しくなったところもあるし、

今までのやり方では通らなくなったところも数多くある。

だが、ひとつ確かなことは、会社としては、僕が入社をした当初と比して確実に健全になっているということ。

 

率直なところ、入社当時は、制度や労務管理という概念はあってないようなものだったが

(ITベンチャーなどどこもそういうものだと思うけれども)、

各種制度は整備、文書化され、労務管理も適正化されている。

もちろん、完璧とは言わないし、現状のシステムに満足をしていない社員もいるだろうが、

過去からの比較で言えば格段に良くなっている。

 

では、なぜ「昔の方がよかった――」となるのか。

それは、前述したように、「コンプライアンス」や「働き方」というものに重きを置くようになることで、

一部の人にとっては身動きが取りずらくなったということもあるだろう。

 

そして、もう1つ。こちらが主だと思うのだが、「昔の方が居心地がよかった――」ということがあると思う。

会社が拡大するのに伴い、入ってくる人材の質も高まる。

そうすると、今までのパフォーマンスや働き方では通用しなくなる。

自分の専門性を高める努力をする、もしくは、知識や能力ではなく、積極性や継続力など、

別のところに自分の価値をスライドさせる必要に迫られる。

 

また、人が入ってくることで、役割が変わるということもあるだろう。

それまでプレイヤーだった人が、人を統べる立場になり、マネジメントの壁にあたる。

自分のことだけに集中していればよかったものが、他者に心を砕くようになり、時に、自分に矢が向けられる。

そのことにストレスを覚え、「昔の方がよかった――」という論調になるケースもあると思う。

 

何にせよ、変化が求められるわけだ。

そのことを受け入れることができないと、「昔の方がよかった――」となる。

 

親しい人が会社を離れていくのはさびしいことだし、正直なところ、今でも郷愁にかられることがあるが、

変化が激しく、無数の競合が存在するIT業界で先頭に躍り出るためには、

バスのスピードを落としたり、迂回をしたりすることは許されない。

目的地を同じくする人を乗せて、速度を緩めることなく、走り続けるしかないのだと思う。

 

 

■会社としての認知度

社員数が増え、会社規模の拡大に伴い、会社としての認知度が年々向上していることも感じる。

特にそのことを感じるのは、新卒採用活動においてだ。

 

僕が入社をした当時から、キングソフトは新卒採用活動をしていたが、

説明会に参加してくださる学生さんは大体の場合、10名にも満たなかった。

15名も来れば歓喜したし、20名を超えようものなら、悦びを通り越し怯えすら覚えた。

あまりにもエントリーが少ない時は、街中でリクルートスーツの学生さんに告知のためのビラを配ったりもした。

 

それから数年が経ち、2019年現在、説明会には毎回50名ほどの学生さんが参加をしてくれるようになった。

参加者数が増えた理由は様々だと思うが、ひとつには、扱う商材や事業の拡大が挙げられるだろう。

事業でいうと、昔はソフトウェア事業のみで、扱う商材はオフィスソフトとセキュリティソフトのみだった。

だが、現在ではソフトウェア事業以外にも、スマホアプリ事業、広告事業に加えて、

自社タレントのマネジメントやプロモーションをおこなうプロダクション事業もおこなっている。

 

また、ライブ配信アプリである「ライブミー」においては、渋谷や表参道において大々的に広告展開をした他、

全国放送のテレビ番組のスポンサーとなり、テレビCMを流したりもしたので、そういった面での効果もあるのだと思う。

 

とはいえ、まだまだ知らない人の方が多いのが現状であるため、それが主目的ではないものの、

会社としての認知度はもっと高めていきたいと思っている。

対外的な点でいえば、社名が知れ渡ることで優秀な人が集まりやすくなるということがあるだろうし、

対内的には「あぁ、あのキングソフトね」とご両親や友人から言われるようになれば、

働く社員もより誇りを持って働けるようになると思うから。

 

 

■会社が変化をする中で

これは少し余談になるかもしれないが、前述したような変化を会社がする中で、僕自身も変化をしていった。

知識や経験値が変化していったということも当然あるが、

それ以上に「仕事」に対する考え方や姿勢が変わったように思う。

 

入社当初は30代前半だったので、考え方も若く、まっすぐで、”野心”に満ちていた。

もっと偉くなりたい。もっと大きな仕事を任せてもらえるようになりたい。もっと給与を上げたい。

もっと、もっと、と上を見上げ、追いかける日々。働くことの意味は、自己顕示や報酬だと信じて疑わなかった。

 

ただ、会社が大きくなり、役職が上がり、責任が増すにつれて、少しずつ考え方も変わっていった。

プレイヤーとして日々上を見上げていれば良い時は終わり、

部門全体のことや、会社全体のことに心を砕く時間が増していった。

それこそ、「昔の方がよかった――」と思うこともあった。

”野心”だけで突き進むことはできず、働くことの意味を見失い、仕事に対する考え方が定まらない期間も正直あった。

 

そんな状態だったが、最近になり、ようやく「仕事」というものがわかってきた気がする。

多摩大学大学院教授で、工学博士、思想家としての顔も合わせ持つ田坂広志さんの言葉を借りるのであれば、

 

技術の熟練、人との出会いと学び、完成の喜び、その結果としての「人間的成長」。

 

 

そういうことなのだと思う。40という年齢を迎えた今は、そう考える。

報酬、出世、自己顕示、競争、安定。

それらの仕事の意味のひとつだと思うのだが、それらでは、人生の大半を賭すにしては物足りない。

プレイヤーとしての苦労や苦悩、マネジメントとしての苦悶。

ビジネスパーソンとしてということではなく、人間としての成長のためであると考えるなら、

それらすべてを受け入れることはできる。

 

その言でいくと、会社と社員とは、雇用する側とされる側という単純な関係性ではなく、

社員ひとりひとりの成長が会社の成長につながるとともに、会社の成長が社員の人間的成長にもつながる。

そういう関係性なのだと思う。だから、僕は、会社をもっともっと大きくしたいと思っている。

 

最後は少し話が外れたが、僕自身の変化や考え方は、少なからず会社としての考え方、

価値観を汲むところがあると思うので、あえて書かせていただいた。

今後も、機会があれば本ブログを通して、会社のこと、仕事のことなどを書いていきたいと思う。